放射線と放射能と放射性物質

ニュースや新聞などで目にするこれらの言葉。
この3つの違いって、わかりにくいですよね。
どういうものなのでしょうか。

放射線って何なのでしょうか?

「放射線」とは、飛んでいく「粒子」や「電磁波(光)」を指します。

テレビや携帯電話でおなじみの「電波」や「目に見える光(可視光線)」も広い意味では放射線の一種なのです。

特に高いエネルギーを持ち、電離作用を持つ「電離放射線」を狭い意味で「放射線」と呼んでいます。

放射線とは何か?

目で見える光の世界というのはほんのごく僅かで、「電波」や「紫外線」などが目にみえないように放射線も人間の目でみることはできません。

「電球」に例えてみましょう。

電球が放射性物質だとすると、
光を出すワット数(能力)が放射能
出てくる光が放射線です。

放射性物質を電球に例えてみると

電球がたくさんあったり、1個だけでも明るい電球があると出てくる光は多くなりますよね。放射性物質がたくさんあったり、放射能の強い放射性物質があると出てくる放射線も多くなります。

放射性物質が放射線を出すワケ

「放射性物質」というのは、言わば
不安定な物質」なのです。

不安定なので、安定した状態になろうと
余分なものを外に捨てようとします。
そうして出てくるのが「放射線」なのです。

「放射能」は「放射線をどれだけ出したがるか」、という目安なのです。

放射性物質が放射線を出す理由

放射性物質は放射線を出して別の物質に変わります。その変化した物質がまた放射性物質である場合もあります。そして最終的には放射線を出さない物質に落ち着くのです。

私たちの身の回りにある物質の多くは、放射線を出さない物質が多くを占めていますが、これは「放射線の出がらし」とも言えるわけです。

放射線にも種類がある

放射性物質から出てくる放射線には
いくつかの種類があります。

それらは主に「アルファ線」、「ベータ線」、
ガンマ線」などがあります。

様々な放射線の種類

放射線の種類によってその「遮りやすさ」が違います。「アルファ線」は紙一枚でも遮れますが、「ガンマ線」は厚いコンクリート等が必要になります。一方で持っているエネルギーは「ガンマ線」よりも「アルファ線」の方が大きかったりします。

放射性物質は「消える」

放射線を出すのが放射性物質なワケですが、放射性物質はいつまでもそこにあるわけではありません。
安定した状態に落ち着こうとして、放射線を出しているわけですから、いつかは自然になくなるのです。

そして、元々あった量から半分になるまでの時間を「半減期」と呼びます。例えば最初、100グラム放射性物質があったとしましょう。
その放射性物質の半減期が1年だとすると、1年後に50グラムになります。そしてさらにもう1年が経つと25グラムになるのです。

放射性物質は半減期を持ち、やがて消える

放射性物質は永遠にそこにあるわけではありません。放射線を出す「崩壊」によってより安定した状態になろうとどんどん変化していき最終的には放射線を出さない物質に落ち着くのです。最初にあった量から半分になるまでの時間を「半減期」と呼びますが、この半減期は「物理的に決まった数値」であるため、例えば化学反応やEM菌のようなもので変える事はできません。別の物質に作り変えてしまう「核変換」という技術を用いない限り、変わることのない数値です。

放射性物質が作られるわけ

放射性物質は放置すると勝手に違う物質に変化してなくなるわけですが、その放射性物質はどうやってできるのでしょうか。

原子力発電ではウランやプルトニウムといった物質が「核分裂反応」という現象を引き起こし、その際に放出される熱をエネルギーとして利用しています。

核分裂とは、文字通りその原子核が分裂するという現象ですが、その分裂した破片(核分裂生成物)が非常に不安定な状態であり、それが放射性物質となるのです。

また、核分裂と同時に放出され、核分裂の連鎖反応を引き起こす「中性子」という粒子が、通常の物質に吸収される「中性子吸収反応」を引き起こし、それが放射性物質へと変化することもあります。

放射性物質はなぜ作られてしまうのか

ある物質から別の違う物質を作り出す」というまるで錬金術のような事をするのが原子力のテクノロジーそのものであると言えます。

「核分裂反応」も中性子のがウランやプルトニウムの原子核に吸収される事で引き起こされるので、これも「中性子吸収反応」の1つの形であると考える事もできます。

「ベクレルってどんな単位?」

ベクレル」や「シーベルト」という言葉を
聞いた方も多いと思います。これは一体
どういう意味があるのでしょうか?

まず「ベクレル」は放射能量といって
放射性物質そのものの量」を指します。
1ベクレルという単位は1秒の間に1個の原子から放射線が出る事を言います。

ベクレルとはどんな単位なのか?

ベクレルは原子の単位なので、ほんのわずかな量でも凄く大きな数字になりがちなのです。

例えば、放射性物質の1つ「トリチウム」が「10億ベクレル!」と聞くととんでもない量に思えますが、重さに換算するとわずか数マイクログラム程度なのです。

「シーベルトってどんな単位?」

シーベルト」というのはざっくり言うと「人間の体が放射線でどれくらいダメージを受けたか」という指標なのです。

放射線の種類や、放射線が当たった場所によって受けるダメージが変わってきます。そのため、種類や場所ごとに「重み付け」することで実際に受けるダメージを数値化したものが「シーベルト」なのです。

たとえば同じ放射線でも、皮膚に受けた場合と体内に受けた場合とではシーベルトの値が大きく変わるのです。

シーベルトとはどんな単位なのか?

「ベクレル」と「シーベルト」以外にも、「グレイ」という単位もあります。これは単純に放射線を浴びた量を示す単位です。
そして単純に浴びた量だけではなく、浴びた放射線の種類や、浴びた体の場所も考慮した値が「シーベルト」なのです。

グレイとはどんな単位なのか?

放射線には様々な単位があり、ややこしく感じてしまいますが、それぞれの単位にはこうした意味があるのです。

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