- 宇宙と原子力
- 物理学における力の基礎について
新タイプの超新星爆発
星が一番輝くのはいつでしょうか。実は星は誕生するときと滅亡するときにひときわ大きな光を出すそうです。質量の大きい恒星が滅亡するとき、それは大変美しい光を出すといい「超新星爆発」と言われます。この爆発にはいくつかの種類があることが理論的には知られていましたが、2021年に実際に発見されました。しかも京都大学が発見したのです。今回はこの大発見の概要を紹介します。
京都大学は国際研究グループを組んで、星の一生や宇宙で起こる事象を研究していました。超新星(スーパーノヴァ)は大質量の恒星や白色矮星(恒星の残骸)が起こす大規模な崩壊のことで、これにより天体は輝きます。星の内部は核融合により自重を支え続けることができますが、これが終末期になると白色矮星になって自重を支えるか、支えきれなくなって爆発を起こします。2通りに分かれるのは星の質量が関係しているとされ、太陽の8倍が分岐点です。
理論研究においてはこの8倍の質量をもつ星の中心核は、以下の要素で構成されていると考えられてきました。酸素、ネオンそしてマグネシウムです。電子は星の自重を支えるための圧力として機能しますが、これが終末期になると電子がマグネシウムやネオンにより捕獲されて、中心核は潰れて爆発すると説明されています。これを「電子捕獲型超新星」といい、これが京都大学が発見したものです。
実はこの理論研究も日本人研究者が関わっているものでした。電子捕獲型超新星は東京大学の研究者により、今から40年前に予言されていましたが、観測はされていませんでした。2018年にはもうひとつ重要な発見があります。アマチュアの日本人天文家がきりん座の方向に爆発した直後の2018zdを観測します。もうひとりの日本人アマチュア天文家がその明るさの変遷を記録。そしてアメリカのカリフォルニア大学院に在籍していた日本人研究者がこれを引き継ぎました。まさに日本人の天文家たちが繋いできたリレーと言えます。さらに言えば、超新星は今から1000年前の平安時代に観測されたといい、歌人の藤原定家が日記「明月記」に記録を残しているなど、日本人にとっては馴染みのある天体の現象です。
大きな星はブラックホールに小さい星は中性子星になると言いますから、この成果によりブラックホールの解明にも繋がると期待されています。ちなみに、発表されたのは2021年7月7日の七夕でした。宇宙(スペース)の秘密は徐々に解明されて、いつか織姫と彦星の銀河に人類が到達する日も近いかもしれません
超新星爆発の兆候か?オリオン 座が爆発するのも近い?
宇宙には様々な星があり、日々変化をしています。その変化の中で注目度が高いものに超新星爆発があります。超新星爆発は重い星が最期に起こす爆発現象のことであり、爆発エネルギーは原爆の約1030個分にも及びます。宇宙環境にとって多大な影響を与えるのですが、懸念されているのがオリオン座に指定されているベテルギウスです。オリオン座は見つけやすい星座の一つであり、特にベテルギウスは輝きを放つため大変わかりやすい星となっています。ですが近年このベテルギウスが大変暗くなっており、本来恒星の中で上位10位に入っているはずなのに、現在では上位20位にも入らなくなってしまいました。誕生からまだ850万年しかたっておらず大変若い星ではありますが、赤色巨星の一生は短いです。そのため超新星爆発の直前であると考えられており、オリオン 座が爆発するのではないか、と騒がれています。
天体のことであるためオリオン 座 爆発と予測は大変難しいのですが、ご紹介するとすればすぐにという訳ではなく、ある程度年月が経ってからということになります。ですがベテルギウスの質量は太陽の20倍もあり、もし太陽の位置にあるとしたら木星までも飲みこんでしまうほどの大きさであるため、超新星爆発を起こした場合、夜の場合は光で地上に影ができ、2から3か月程度は日中もその輝きを確認することができます。
身近な星ではありますが、太陽系からはずいぶんと離れた星のため直接的な影響はないものの、オリオン 座が爆発することは天体ファンにとっても興味深い現象であり、いつ超新星爆発が起こるか待ち遠しく思う人も多いです。爆発によってベテルギウスは消えてしまうので、オリオン座そのものの形も変わることになり、星座という概念が変わる可能性もあります。
オリオン座のベテルギウス|平家星とは
夜空を見上げるとひときわ目を惹くのが北斗七星オリオン座です。この2つの星座は大変見つけやすいのが特徴で、天体観測をする上でも目印になる星座でもあります。
その中で大変見つけやすいのがベテルギウスです。オリオン座には有名なベテルギウスとリゲルがあり、この2つの星は大変強く輝きます。平家星とはベテルギウスのことであり、和名で平家星と言われることからリゲルは源氏星として知られてきました。これは岐阜県の山村で見えた赤い色のベテルギウスを平家の赤旗とみなし、青白い光を放つリゲルを源氏の白旗に見立てたことが由来しています。
近年注目されているのがベテルギウスの輝きです。もともと赤色巨星と言われており、大きさは太陽の1000倍ほどになりますが、寿命は短くいつベテルギウスの爆発が起きてもおかしくはありません。さらにベテルギウスの輝きが落ちてきており、それまで10位以内であったのが20位までその輝きが落ちてしまいました。このようなことから平家が滅びる日も近いとうわさされています。
ですがベテルギウスの爆発をご紹介すると、東京大学の研究グループがまとめたところ10万年以上も先のことだという結果がでました。このような結果は出ているものの、平家星は大変遠いところにあり、今見えている平家星は640年前の姿です。そのためすでに平家が滅びる状態にあったとしても、その情報が伝えられるのは640年後であり、地球環境にも影響しません。ただし大きな星であるため、数か月は月のように明るい状態になっており、天体観測を楽しむことができます。
今現在、ベテルギウスの爆発が起きているという情報は入ってきていません。そのため平家が滅びるのは当分先になります。