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最新情報|日本が挑む「火星探査」
日本は宇宙や生命の起源の解明に様々な角度から取り組んでいますが、いわゆる火星探査もその1つです。米国では有人月面探査のアルテミス計画が進められていますが、その次の目標として火星探査が注目されています。火星は米国以外の国にとっても注目の的で、各国が探査機などの開発に着手している状況です。火星が人気なのは太陽系において地球に近いこと、大気があって人が住める可能性があるなどが主な理由です。
宇宙の起源に迫る手掛かりが得られる可能性もありますし、生命についても解明が進む可能性に期待が集まります。米航空宇宙局NASAは、2021年に探査車のパーサビアランスと、小型ヘリのインジェニュイティの火星着陸を成功させています。そしてこれらの惑星 探査 機が捉えて地球に送られてきた写真は、世界中にニュースで配信されました。中国も火星探査に取り組んでおり、探査機の天問1号の打ち上げが成功しています。今後は探査車の祝融が火星表面の土壌を調査する予定です。アラブ首長国連邦は2020年に、日本のJAXAのH2Aロケットで火星探査機ホープを打ち上げました。
ホープは火星の周回軌道において、気象と大気の観測を進める方針です。米国では民間でも火星の事業が進められており、スペースエックス社は大型宇宙船のスターシップで火星に人を輸送するビジネスを計画しています。日本の火星探査は、1998年に打ち上げられたのぞみによって、火星の上層大気や磁場の観測が行われる予定でした。ところが火星まであと1000kmといった時点で、残念ながら探査機との通信が途絶えてミッションは失敗に終わっています。日本でははやぶさ2の成功もあり、火星の衛星フォボスに目標を定めて、試料を回収するサンプルリターン計画を推し進めている最中です。
JAXAははやぶさ2より多くの試料を回収して持ち帰ることを目標としています。サンプルリターンの成功は、有人探査計画の基盤になるといえるでしょう。日本では、ドローン開発と地下空洞探査も重要視されます。JAXAは東北大学や東京都立大学、工学院大学と共同で火星探査用ドローンの設計を進めています。この計画は火星の地下空洞を飛行調査することを目的としており、2030年代の実用化を目指すものです。NASAの火星ヘリの3倍にあたる飛行距離が設計目標なので、実現すれば1回の飛行で最長1kmの飛行が可能となります。
これはかなり火星の調査が進むことになると思われます。