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日本とアメリカは月への帰還で協力しあう?
日本とアメリカが月への帰還で協力し合うと言う可能性が、2019年9月にNASAのブライデンスタイン長官から提案されています。これは、日本政府に対し、2020年代の後半にも日米両国の宇宙飛行士が一緒に月面に降り立つと言う計画で、これが実現することで日本にとってははじめての月面着陸と言うことになります。これまで月面着陸を果たしたこれは米国だけであり、日本にとっては米国に次ぐ快挙と言うことになるのです。
米国は2019年5月に人類の火星到達を最終目標に掲げており、その第一歩に月面に再び人類が降り立つアルテミス計画を発表しています。月の近くに宇宙ステーションを建築し、これを経由して月面に降り立つことを企画しているもので、従来月面に降り立ったアポロ計画とは異なり、単純に月面着陸を行うのではなく、長期的に月を利用した様々な活動を行うことを見据えた行動となっているものです。
米国は月が今後経済や安全保障上で非常に重要な位置づけになると考えており、これを早期に実現するために様々な施策を考慮しているため、そのパートナーとして日本を考えているとのことです。この背景には現在様々な宇宙開発で米国の地位を脅かしている中国に対する牽制の意味が含まれていると考えられており、様々な活動を中国に先んじて行うために日本に協力要請をしたと考えられる面もあります。
日本はこれまで様々な宇宙探索を実験的に続けているものの、月やその他の地球の近傍の惑星に関しては米国にその優先権を委ねている風潮がありました。しかし今回の米国の要請により日本のこれらの宇宙探索に関わることとなるほか、その重要な位置づけを担うことになり、宇宙探索における世界的な地位が高まるものと考えられているのです。
米国の計画では2024年に米国人2人が宇宙ステーションを経由して月面に降り立つとしています。その宇宙ステーションの建設に日本は技術や機器の提供を持って貢献し、米国はスペースシャトルなどで培った宇宙への飛行士の輸送技術を駆使して宇宙ステーションまで飛行士を輸送する役割を担う計画です。2024年にまず米国人2人が月面に降り立つことが想定されており、その結果を踏まえて2025年以降、日本人飛行士がこの企画に参加し米国人と同時に月面に降り立つと言うことになっているのです。
日本のはやぶさ等による宇宙船の制御技術は米国も一目置くものとなっており、今回の計画は日本の宇宙探索の技術を米国が評価した上での協力要請となっています。