- 宇宙と原子力
- 物理学における力の基礎について
原子力発電は安い?
原子力発電は、他のシステムと比較しても運用コストが安いというメリットがあります。これは、火力のボイラーを原子炉に変えることによって、化石燃料を必要としない仕組みにしているからです。火力発電は、化石燃料を材料にして発電を行います。原子力発電と比較してこの化石燃料には、大きな費用が必要になります。
確かに、この方法を利用することで強力な電力を生み出すことは可能です。ただ、日本でこの方法を用いることにはいくつかの問題点も存在します。まず、運用コストが高くなるという点です。そもそも、日本は火力で運用するための資源をすべて国内で確保することができないという問題点があります。運用を継続するためには、海外から燃料となる化石燃料を輸入しなくてはならず、そのコストは膨大なものとなります。また、発電を行うときに実は環境にあまりよくないという難点も存在します。また、環境の悪化に繋がっていると考えられている二酸化炭素を排出してしまうのも問題点の1つです。これらの問題点を解消できるのが、原子力発電所のメリットです。
原子力エネルギーは、他のシステムと異なって膨大な電力を低コストで生み出すことが可能です。元々、電力を生み出すためのシステムは、それぞれの燃料量が大きく異なりますので、発電効率を考慮した理想的な設計をしなくてはいけません。原子力に必要な燃料も海外から取り寄せていることに違いありませんが、この発電効率の観点から原子力の方が実は運用コストが安く済むという背景があります。必要になる燃料の量が違いますので、これがコストの違いに繋がるからです。
さらに、エネルギーの量そのものが膨大になるという側面もあります。火力などもそうですが、電力を生み出すための力は熱エネルギーが利用しています。化石燃料が優れているのも、大量に熱エネルギーを作り出すことができるからに他なりません。そして、この熱エネルギーを大量に作り出すことができるのが実は原子力です。ウランの核分裂によってエネルギーを作り出していくことになるのですが、このエネルギー量は石炭や石油が生み出すものと比較しても数十倍にもなりえます。原子力は、少量の燃料で膨大なエネルギーを作り出すことができ、しかもそれを運搬したり貯蔵することについても比較的容易に環境を作ることができます。そのため、長期的な運用コストやリスクを考慮しても、世界中で原子力発電所が主力として利用されている背景が存在します。