電気出力10Wモデルの
モックアップ(Credit:NNL)
欧州宇宙機関(ESA)ではかねてより原子力電池や宇宙用原子炉を用いた惑星探査ミッションを検討しており、今あるのはこちらのイギリスの国立原子力研究所(NNL)による電気出力10Wのアメリシウム原子力電池の計画です。
半減期が約400年ほどと長いために超長期間に及ぶ太陽系外惑星以遠の探査ミッションには適していますが、そのぶん単位重量あたりの崩壊熱出力は小さくなるため、比較的多くの量が必要になります。
また低エネルギーのガンマ線も放出するため、一部の観測機器への影響が及ばないよう遮蔽などを考慮しなければならない場合もあります。
一方でプルトニウム238よりも安価に製造できる上、本来は放射性廃棄物として扱われてしまう事になるアメリシウム241を利用できるとあって研究が進められています。
NNLでは銀触媒を用いた化学分離プロセスで二酸化プルトニウムからアメリシウムと銀を分離し、銀を回収する事で99.7パーセント以上の純度でアメリシウムを回収できたとあります。
原子力電池用の放射性同位体生産においては再処理工程での化学分離などの点も含めて安くたくさん作れれば様々な探査ミッションで原子力電池を使える可能性が広がると思います。現状では原子力電池は大規模なフラッグシップ級のミッションにおいてのみ利用されているため、もっと中規模の探査ミッションでも広く利用されればと思います。