2012年8月6日、火星のゲールクレータに史上最大の火星探査機が降り立ちました。マーズ・サイエンス・ラボラトリー<火星科学研究所>、愛称を 「キュリオシティ<好奇心>」と名付けられ、白いアルミニウム合金の車体を持つ探査車は、火星にかつて居たかもしれない生命の痕跡、今後の探査 の為の火星の環境、新しい着陸・探査技術の実証など、数多のミッションを背負っています。
キュリオシティによる「自撮り」(Credit:NASA)
キュリオシティが着陸に成功した2012年からちょうど50年前、1962年に人類史上初の惑星探査機である、金星探査機「マリナー2号」が金星のフライバイ(接近通過)に成功しました。そこから現代に至るまで数多の探査機が宇宙を探査し、新しい科学と技術を切り拓いてきました。キュリオシティはそこから50年めの節目に相応しい、これまでの技術の集大成の探査機と言っても過言ではないでしょう。ミッション総費用にして25億ドルの費用と多くの技術が応用されました。1997年の「ソジャーナ」、2004年の「スピリット」と「オポチュニティ」、そして2012年、第3世代となる4機目の火星探査車「キュリオシティ」はプルトニウムの原子力電池で動き、10もの科学機器を駆使し、ドリルやレーザまで搭載しています。ここではキュリオシティを構成する多くの機器がどういったものなのか解説をしております。複雑で精密な構造を持つキュリオシティの機能や面白さを少しでもお伝えできればと思います。
探査機の諸元
キュリオシティ | マーズ・サイエンス・ラボラトリ |
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運用 | NASA / JPL |
打上機 | アトラスV 541(AV-028) |
打上日 | 2011年11月26日15時02分00秒(UTC) |
着陸日 | 2012年8月6日05時17分57秒(UTC) |
着陸地点 | ゲールクレーター「ブラッドベリ・ランディング」 |
COSPAR-ID | 2011-070A |
重量 | 900kg |
本体全長 | 2.9m |
本体全幅 | 2.7m |
本体全高 | 2.2m |
電源 | 熱電変換型原子力電池「MMRTG」 |
科学観測機器 | MastCam:マストカメラ ChemCam:レーザ誘起ブレイクダウン分光カメラ REMS:ローバ環境観測ステーション MAHLI:火星顕微鏡カメラ APXS:アルファ粒子X線分析計 DAN:中性子反射率計 CheMin:化学・鉱物分析装置 SAM:火星試料分析装置 MARDI:火星降下カメラ RAD:放射線環境評価検出器 |